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【要 旨】
目 的:人工肩関節置換術後のスポーツや肉体労働への復帰については,報告が少なく一定の見解がないのが現状である.本研究の目的は,解剖学的全肩関節置換術(anatomical total shoulder arthroplasty:aTSA)および逆肩関節置換術(reverse shoulder arthroplasty:RSA)後のスポーツや肉体労働への復帰および臨床成績および画像所見を調査することである.
対象および方法:aTSAまたはRSAを受けた患者で,術前にスポーツや肉体労働に参加していた86例の患者90肩を対象とした.aTSA群は30(男性10,女性20)肩で,平均年齢は71±8歳,RSA群は60(男性39,女性21)肩で,平均年齢は72±6歳であった.スポーツと肉体労働は低・中・高負荷活動に分類された.aTSA群とRSA群で,可動域,コンスタントスコア,スポーツまたは仕事への復帰,画像所見を評価し比較した.
結 果:可動域はaTSA群ではすべての方向で術後有意に改善を認めたが,RSA群では屈曲と外旋のみで改善を認めた.術後の外旋および内旋,コンスタントスコア,満足度は,aTSA群でRSA群よりも有意に良好であった.aTSA群では復帰率93%,完全復帰率70%であり,RSA群では復帰率83%,完全復帰率30%であった.完全復帰率はaTSA群でRSA群よりも有意に高かった.画像所見では,aTSA群の1肩でグレノイドインプラントの弛みを認め,RSA群では軽度のスカプラノッチング(肩甲切痕)を8肩に認めた.
結 論:aTSAおよびRSA後のスポーツや肉体労働への復帰率は高かったが,完全復帰率はaTSA群がRSA群よりも有意に高かった.中期的な経過観察の中では,無症候性のグレノイドインプラントの弛みの1例以外では画像的な問題は認めなかった.
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