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【要 旨】
目 的:腰部脊柱管狭窄症(LSS)がどのように腰痛を引き起こすかについては一定の見解は得られていない.本研究の目的は,LSS患者の腰痛に関連する因子を明らかにすることである.
対象および方法:除圧術の既往がないLSS患者260例(平均年齢72.8歳,男性119例,女性141例)を対象とした.筋肉量[バイオインピーダンス(BIA)法],X線所見(腰椎・骨盤アライメント),MRI所見(脊柱管狭窄,椎体終板障害,Modic変化,椎間板変性,椎間関節症)を評価し,腰痛のnumerical rating scale(NRS)≧3を腰痛あり群,NRS<3を腰痛なし群とし,比較を行った.また,ロジスティック回帰分析で腰痛の有無に関連する因子を検討した.
結 果:腰痛あり群(209例)は,腰痛なし群(51例)に比べ,NRS殿部・下肢痛,しびれ,endplate defects,Modic変化の保有率,椎間板変性のグレードが高く,short-form(SF)-36全体的健康感が低かった(p<0.05).ロジスティック回帰分析では,糖尿病[オッズ比(OR)2.43,95%信頼区間(CI)1.07~5.53],殿部・下肢しびれ(OR 1.34,95%CI 1.17~1.52),SF-36全体的健康感(OR 0.97,95%CI 0.95~0.99),erosive endplate defectsの有無(OR 3.04,95% CI 1.51~6.11)が腰痛の有無に関連していた(p<0.05).
結 論:脊柱管狭窄のみでLSS患者の腰痛を評価することは不十分であることを示唆した.今後は術前の椎体終板障害が除圧術後の腰痛に及ぼす影響について検討する必要がある.
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