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高齢者頚椎・頚髄損傷の特徴および予後に関する受傷原因別の検討
-――Japan Association of Spine Surgeons with Ambition多施設共同研究
Differences in clinical characteristics of cervical spine injuries in older adults by external causes:a multicenter study of 1,512 cases
横川 文彬
1
N. Yokogawa
1
1金沢大学大学院整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Graduate School of Medical Sciences, Kanazawa University, Kanazawa
キーワード:
cervical spine injury
,
older adult
,
external cause
Keyword:
cervical spine injury
,
older adult
,
external cause
pp.475-479
発行日 2024年5月1日
Published Date 2024/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei75_475
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【要 旨】
目 的:高齢者では軽微な外傷による頚椎・頚髄損傷が多いとされるが,その予後はしばしば不良となる.本研究の目的は,高齢者の頚椎・頚髄損傷の特徴や予後について受傷原因別に調査することである.
対象および方法:本研究では,全国多施設データベースに登録された65歳以上の外傷性頚椎・頚髄損傷患者1,512例を対象とし,受傷原因別の臨床的特徴や予後,ならびに軽微な外傷例の予後不良因子について検討した.
結 果:受傷原因は立位・坐位からの転倒が最多で38%,低所からの転落16%,高所からの転落22%,交通事故19%であった.頚椎・頚髄損傷を転倒・転落の高さで分類し比較したところ,立位・坐位からの転倒例では,より高所からの転落例と比較して併存疾患やフレイルなどを有することが多く,受傷前の健康状態がわるい傾向にあった.立位・坐位からの転倒例の受傷後6ヵ月の死亡率,歩行自立率,自宅退院率はそれぞれ9%,67%,80%であり,受傷時の年齢や神経障害の重症度に加えて,併存疾患やフレイルが独立した予後不良因子であった.
結 論:高齢者における頚椎・頚髄損傷の主要原因は立位・坐位からの転倒であり,その際に併存する疾患やフレイルにより予後が悪化しやすい.
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