腰部脊柱管狭窄（症）は認知症発症の危険因子である -――Locomotive Syndrome and Health Outcomes in the Aizu Cohort Study（LOHAS）

Lumbar spinal stenosis is a risk factor for dementia development：Locomotive Syndrome and Health Outcomes in the Aizu Cohort Study

【要　旨】

　目　的：筋骨格系疾患が認知症発症の危険因子であるか否かはいまだ不明である．本研究の目的は，腰部脊柱管狭窄（症）［lumbar spinal stenosis：LSS］が認知症発症の危険因子であるか否かを明らかにすることである．

　対象および方法：Locomotive Syndrome and Health Outcomes in the Aizu Cohort Study（LOHAS）における65歳以上の参加者を対象とした．LSSの診断はLSS診断のための自記式問診票を用いて行った．2008～2015年の認知症発症を公的介護保険認定データを用いて調査した．年齢，性別，糖尿病，抑うつ症状，股関節および膝関節の変形性関節症，活動性の低下，喫煙習慣などの潜在的交絡因子を調整した後，認知症発症に対するLSSの影響を分析した．

　結　果：1,220例の患者が対象となり，認知症の発症率は対照群［776例中34例（4.4％）］よりもLSS群［444例中48例（10.8％）］で有意に高かった．多変量解析の結果，認知症発症におけるLSSの調整オッズ比は1.87（95％信頼区間1.14～3.07）であった．

　結　論：本研究の結果，LSSが認知症発症の独立した危険因子であることが明らかになった．われわれの知見は，LSS治療の意思決定プロセスにおいて，認知症のリスクを考慮することの重要性を示唆している．