Japanese
English
経験と考察
信号変化を伴う腰椎分離症例には常に腰痛があるのか
-――骨盤MRIで偶然見出した成長期腰椎疲労骨折による評価
Do the cases of spondylolysis with signal change on magnetic resonance imaging(MRI)have always low back pain?:evaluation based on lumbar stress fractures found unexpectedly by MRI for injuries or disorders around pelvis
小林 良充
1
,
尾藤 晴彦
2
,
船越 雄誠
1
,
滝 正徳
3
,
鈴木 浩介
4
,
塩崎 太郎
1
,
杉山 雅洋
5
Y. Kobayashi
1
,
H. Bito
2
,
Y. Funakoshi
1
,
M. Taki
3
,
K. Suzuki
4
,
T. Shiozaki
1
,
M. Sugiyama
5
1聖隷浜松病院スポーツ整形外科
2浜松市リハビリテーション病院スポーツ医学センター
3聖隷浜松病院足の外科
4静岡すずき整形外科リハビリ&スポーツクリニック
5浜松市リハビリテーション病院放射線科
1Dept. of Sport Orthop. Surg., Seirei Hamamatsu General Hospital, Hamamatsu
キーワード:
lumbar stress fracture
,
spondylolysis
,
pelvic injure
,
referred pain
,
zygapophyseal joint
Keyword:
lumbar stress fracture
,
spondylolysis
,
pelvic injure
,
referred pain
,
zygapophyseal joint
pp.205-211
発行日 2024年3月1日
Published Date 2024/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei75_205
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は じ め に
腰椎分離症は成長期にみられるスポーツ障害の一つで,椎弓に生じる疲労骨折,もしくはそれが偽関節化した骨欠損である.その診断はMRIによる椎弓の信号変化に着目し,活動性のある,言い換えれば有症状の疲労骨折を把握してCTで骨折の進行状態を確認することが一般的となっている.
腰椎疲労骨折の診療にあたって生じる疑問の一つは,腰痛の既往がないにもかかわらず,信号変化部位に一致する骨折以外に,偽関節化した骨折や信号変化を伴わない不全骨折,骨癒合した骨折の痕跡が対側椎弓や他高位の腰椎にみられることである1).これは腰痛の経験を忘れているだけでなく,腰椎疲労骨折がありながら無自覚で運動を行っていた可能性も考えられる.しかし,そのような症状のないアスリートを診察する機会はほとんどない.
一方,骨盤周辺のスポーツ外傷や障害の症例に対して行ったMRIの撮像範囲に下位腰椎が含まれ,偶然に腰椎の信号変化が見出されることがある.これらは外傷などで症状が生じるまで運動を行っていた症例であり,骨盤MRIでとらえた腰椎信号変化例の受診時における腰痛の有無について調査することは,腰椎疲労骨折の症状を詳らかにする一助になると考えた.
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