Japanese
English
論説
CT画像で先天性腰椎分離を疑った症例群
Suspected congenital spondylolysis based on computed tomography
小林 良充
1
,
船越 雄誠
1
,
滝 正徳
2
,
尾藤 晴彦
3
,
桐村 憲吾
4
,
杉山 雅洋
5
Y. Kobayashi
1
,
Y. Funakoshi
1
,
M. Taki
2
,
H. Bito
3
,
K. Kirimura
4
,
M. Sugiyama
5
1聖隷浜松病院スポーツ整形外科
2聖隷浜松病院足の外科
3浜松市リハビリテーション病院スポーツ医学センター
4浜松市リハビリテーション病院整形外科
5浜松市リハビリテーション病院放射線科
1Dept. of Sports Orthopedics, Seirei Hamamatsu General Hospital, Hamamatsu
キーワード:
lumbar stress fracture
,
atypical spondylolysis
,
congenital
Keyword:
lumbar stress fracture
,
atypical spondylolysis
,
congenital
pp.101-107
発行日 2020年2月1日
Published Date 2020/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei71_101
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は じ め に
腰椎分離は成長期のスポーツ活動によって発生する腰椎の疲労骨折であることが広く認識されている.腰椎疲労骨折は関節突起間部の腹側を起点として背側に進行し,椎弓を分断,偽関節化する1).
われわれは,偽関節型と判断した分離の中に関節様の形態を呈するものを経験し,これらは先天性である可能性を提唱した2).そのCT画像の特徴は,偽関節型分離の内外縁にみられる骨折に対する反応性の骨増殖がなく,分離両断端が平滑かつ平行で裂隙は狭い.これらの分離は擬似椎間関節を形成した脊椎異常,奇形と考えた.スポーツによる腰痛を主訴に来院し,CTで診断した20歳以下の全分離例1,155例のうち,関節様の形態を呈する分離例は6例(0.5%)で,L2分離6椎のうち2椎(33.3%),L3分離59椎のうち4椎(6.8%)を占め,L4,L5の下位腰椎には認めなかった2).
上位腰椎の分離は下位腰椎にみられる分離と形態が異なるものがあり,atypical spondylolysisとして報告されてきた3~6).外側の垂直で平滑な裂隙と内側の水平な鋸歯状の裂隙を有する独特な分離形態で,分離側椎弓根部から後内方へ伸びる骨塊(bony mass)を伴い,対側の椎弓根部に肥大骨硬化がみられる(図1).
本稿の目的は,CTで先天性が疑われた分離(suspected congenital spondylolysis:SCS)例をatypical spondylolysisの観点から検討することである.
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