Japanese
English
経験と考察
画像からみた腰椎後峡部および椎弓根部疲労骨折の発生機転
Developmental mechanism of lumbar retroisthmus and pedicle stress fractures based on radiological findings
小林 良充
1
,
尾藤 晴彦
2
,
船越 雄誠
1
,
滝 正徳
3
,
鈴木 浩介
1
,
杉山 雅洋
4
Y. Kobayashi
1
,
H. Bito
2
,
Y. Funakoshi
1
,
M. Taki
3
,
K. Suzuki
1
,
M. Sugiyama
4
1聖隷浜松病院スポーツ整形外科
2浜松市リハビリテーション病院スポーツ医学センター
3聖隷浜松病院スポーツ・足の外科
4浜松市リハビリテーション病院放射線科
1Dept. of Sports Orthop. Surg., Seirei Hamamatsu General Hospital, Hamamatsu
キーワード:
lumbar stress fracture
,
spondylolysis
,
pedicle
,
retroisthmus
Keyword:
lumbar stress fracture
,
spondylolysis
,
pedicle
,
retroisthmus
pp.841-845
発行日 2022年7月1日
Published Date 2022/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei73_841
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
は じ め に
腰椎分離は成長期のスポーツ活動によって発生する疲労骨折で,通常は関節突起間部に発生する.しかし,分離が関節突起間部以外の椎弓にもみられることは骨格標本や画像上から提示されており(図1)1,2),これらの分離も後天性の疲労骨折であることを報告してきた3).椎弓根部や後峡部疲労骨折の不全型が椎弓の内側にあり,対側椎弓に先行する骨折があることからその発生機転を次のように考えた.
片側の骨折を生じさせた運動が継続すれば骨折部は開大を繰り返し,非骨折側の椎弓根部から後峡部にかけての椎弓内側もしくは内腹側に引っぱり応力が働き,疲労骨折が生じる(図2)4,5).
近年,関節突起間部骨折が骨癒合した後で同側下関節突起部に骨折が生じた症例を経験し6),さらに下関節突起部疲労骨折側椎弓の約32%に関節突起間部骨折の骨癒合の痕跡があったことから,下関節突起部疲労骨折を再発性(二次性)骨折と考えるようになった7).骨折の骨癒合により関節突起間部の力学的強度が増して相対的に弱くなった下関節突起部に骨折が再発すると推測した(図3)6,7).
本稿の目的は,椎弓根部および後峡部疲労骨折例のCTを検討し,新知見に基づいてこれらの骨折の発生機転について考察することである.
© Nankodo Co., Ltd., 2022