Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
【要 旨】
目 的:高齢者の頚椎・頚髄損傷に関して,本邦での大規模多施設研究をもとに後縦靱帯骨化症(ossification of posterior longitudinal ligament:OPLL)を有する症例の特徴と現況を調査・検討する.
対象および方法:Japan Association of Spine Surgeons with Ambition(JASA)所属の全国33施設において,外傷性の頚椎・頚髄損傷の診断で,2010~2021年に入院加療を実施した65歳以上の症例を対象とした.OPLLを有する症例を対象に受傷時年齢,body mass index(BMI),受傷機転,糖尿病の有無,骨傷の有無,治療内容,American Spine Injury Association(ASIA) impairment scale(AIS)とASIA motor score(AMS)の変化量(6ヵ月,12ヵ月)を調査し,OPLL群と非OPLL群でAISとAMSの変化量を比較・検討した.神経学的予後に有意な影響をもつ既存の因子をpropensity score matchingを用いて両群間で調整し,2群間比較をした.
結 果:全1,512例のうち,OPLLを有する症例は332例で全体の22.0%に認めた.平均年齢は75.3歳,男性比率80.7%であり,受傷起点は立位・坐位からの転倒が165例(49.7%)と最多であった.骨傷のない非骨傷性頚髄損傷が222例(66.9%)であった.治療内容は保存療法107例,手術療法225例であった.OPLL群では男性,高BMI,軽微な外力の受傷,糖尿病が多く,受傷時AMS低値であり,手術を受ける割合が多かった.Propensity score matchingで説明変数を調整後,6ヵ月後,12ヵ月後のAIS・AMS変化量は両群間で有意差はなかった.
結 論:OPLLを有する高齢者の頚椎・頚髄損傷では,受傷時の神経学的所見は重症である傾向であったが,神経学的所見の改善率には大きな影響を及ぼしていない結果となった.
© Nankodo Co., Ltd., 2024