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特集 脊柱靱帯骨化症研究の進歩
Ⅰ.基礎研究
1.頚椎後縦靱帯骨化症のゲノム解析の現状
Genome-wide association study(GWAS)of ossification of the posterior longitudinal ligament of the spine(OPLL)
池川 志郎
1
S. Ikegawa
1
1理化学研究所生命医科学研究センター骨関節疾患研究チーム
1Laboratory for Bone and Joint Diseases, RIKEN Center for Integrative Medical Sciences
キーワード:
OPLL
,
genome analysis
,
GWAS
,
susceptibility gene
,
SNP
Keyword:
OPLL
,
genome analysis
,
GWAS
,
susceptibility gene
,
SNP
pp.502-508
発行日 2018年5月25日
Published Date 2018/5/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei69_502
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は じ め に
後縦靱帯骨化症(ossification of the posterior longitudinal ligament of the spine:OPLL)は,脊椎の後縦靱帯の異所性骨化によって起こる疾患である.Common disease(頻度が高い疾患)で,日本人の有病率は2~4%である.病因からみると,一次性(特発性)と二次性(症候性)に大別される1).低リン酸血症性くる病/骨軟化症などの単一遺伝子病(monogenic disease)や,副甲状腺機能低下症や末端肥大症などの内分泌異常症には高頻度にOPLLが合併する.しかし,ほとんどのOPLLは,原因不明の特発性OPLLである.
特発性OPLLには遺伝的要因があることが知られている1,2).過去の疫学研究などから,特発性OPLLは,複数の遺伝因子と環境因子の総合的な効果で発症する多因子遺伝病であると考えられている.遺伝因子は,複数の(多くの場合,100以上の)疾患感受性遺伝子によって規定される.
筆者の研究室では,ゲノム解析による特発性OPLLの病因の解明を進めている.全ゲノム相関解析(genome-wide association study:GWAS)を出発点に,疾患感受性遺伝子を発見し,そこからOPLLの病因・病態に切り込もうと考えている3).OPLLでは,発生部位によって遺伝的要因が異なると考えられるが,本稿では頚椎のOPLLのGWAS研究について述べる.
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