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【要 旨】
目 的:関節リウマチ(RA)における治療反応性の機序については十分にわかっていない.われわれは,治療抵抗性を予測しうる末梢血免疫細胞サブセットを同定するために,大規模トランスクリプトーム解析を実施した.
対象および方法:新規治療開始前のRA 55例,健常対照者39例から,末梢血免疫細胞サブセット18種を分取し,それぞれについてRNAシーケンス(RNA–seq)を行った.まずRAそのものおよび治療による各免疫細胞のトランスクリプトームの変化の特徴を評価した.次に各免疫細胞の遺伝子モジュールと治療抵抗性の関連性を評価した.その結果について,独立した別のコホートを対象に,定量的ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)[qPCR]およびマスサイトメトリーをそれぞれ用いて検証を行った.最後に滑膜のシングルセルRNA–seqにより同定された治療抵抗性関連細胞集団の特徴づけを行った.
結 果:RA患者の免疫細胞は,IL6–JAK–STAT3シグナルおよびインターフェロン(IFN)関連遺伝子の発現亢進を認めた.アバタセプトによる治療により,前者の発現は低下したものの,後者はほとんどのサブセットで低下しなかった.治療抵抗性の解析では,形質細胞様樹状細胞(pDC)の特定のモジュールがもっとも治療抵抗性と関連しており,このモジュールは樹状細胞前駆細胞(pre-DC)を反映していた.Ⅰ型IFNシグナルはpre-DC関連遺伝子の発現と負に相関した.独立した検証コホートにおけるqPCRおよびマスサイトメトリーにより,pre-DC関連遺伝子発現およびpre-DCの割合が,治療抵抗性患者の治療前末梢血中に有意に高いことが確認された.滑膜樹状細胞(DC)にもpre-DC様細胞集団が存在し,炎症性の古典的樹状細胞(cDC2)の特徴を有していた.
結 論:RA患者の治療前末梢血におけるpre-DCの増加が治療抵抗性を予測した.pre-DCは治療反応性の病態に関連している可能性がある.
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