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【要 旨】
目 的:関節リウマチ(RA)治療では,薬物療法が黄金時代を迎えた反面,長期罹病患者に現前として存在する “関節障害” の治療はいまだ立ち遅れている.とりわけリウマチ手では顕著であり,経験豊かな一部の治療者に限られる.本研究ではこの経験を補う方法の開発を目的として,11年にわたる追跡調査の結果から,“手” としての機能単位を包括的に評価した.
対象および方法:2004年に開始したリウマチ手コホート67例134手を対象とし,リウマチ特有の変形や機能などを評価した.2009年には52例100手を対象とし,2015年には37例63手が追跡でき,最長で11年間の追跡ができた.2004年時点の手指変形に対してtwo-stepクラスタ解析を行い,変形タイプ別の群分けを行った.各群の経時的変化を共変量を罹病期間にした二要因共分散分析で解析した.
結 果:クラスタ解析から変形は大きく5つのタイプに分けられることがわかった.罹病期間の長い1群は変形や重い障害がみられたが,ほかの4群では罹病期間は同様でも変形と障害には大きな違いがみられた.母指変形は期間中にNalebuff分類のタイプ間での変化がみられた.手指スワンネック変形は経時的に悪化がみられたが,手指ボタン穴変形や尺側偏位では経時的な悪化はみられなかった.各変形ともクラスタ群間には差があった.
結 論:変形があまり進行しないconservative subsetと,変形が進行し機能が悪化するprogressive subsetがあることがわかった.Progressive subsetの目安になる特徴的な変形を日常診療で注目することが,治療介入の決定の助けになる.
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