関節リウマチ手関節病変および手指伸筋腱断裂に対しての治療方針と診療の実際

Treatment strategy and practice of medical care for wrist joint disorders and finger extensor tendon ruptures in patients with rheumatoid arthritis

は じ め に

　関節リウマチ（RA）は原因不明の滑膜炎症が体内に生じ，全身の関節，骨を破壊しさらに日常生活動作障害をきたす自己免疫性疾患である^1）．診療ガイドラインが整備され，最新のものは2020年である^2）が，まずは薬物治療が提示される．メトトレキサートが第一選択薬であり，phase 2以降でbiological disease-modifying antirheumatic drugs（bDMARDs）やtargeted synthetic disease-modifying antirheumatic drugs（tsDMARDs）が使用される．

　このように関節リウマチの薬物治療は進歩しているが，手指や手関節病変は70％もの患者でみられ^3），進行する関節破壊は時に生じ，手術にいたるような手関節病変は依然として存在する．

　特に伸筋腱皮下断裂を合併するような場合は手術適応となる^4）．小指，環指の順に腱断裂が生じやすく，中指あるいは示指まで皮下断裂が及ぶような症例では腱の再建に難渋する．

　本稿では，関節リウマチの手関節病変および手指伸筋腱断裂に対する当科が行ってきた治療方針を概説する．多数指伸筋腱断裂に対する治療法としてmodified Boyes法があげられるが，本術式についても述べる^5）．