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連載 卒後研修講座
関節エコーを用いた関節炎疾患の理解と最新の関節リウマチ治療
Importance of ultrasound in understanding the pathology of inflammatory arthritis and the latest treatment for rheumatoid arthritis
岡野 匡志
1
T. Okano
1
1大阪市立大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Osaka City University Graduate School of Medicine, Osaka
キーワード:
RA
,
differential diagnosis
,
US
Keyword:
RA
,
differential diagnosis
,
US
pp.1191-1200
発行日 2021年10月1日
Published Date 2021/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei72_1191
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は じ め に
整形外科診療において,関節痛を訴えて来院する患者の多くは変形性(膝)関節症(OA)などの変性疾患であるが,中には関節炎疾患を有する患者が存在する.関節炎疾患の代表は関節リウマチ(RA)であるが,そのほかにも乾癬性関節炎(PsA)などの脊椎関節炎(SpA)やリウマチ性多発筋痛症(PMR)などとの鑑別は重要である.近年,関節エコーやMRIなどの画像診断の進歩によって,運動器疾患の関節内の状態や軟部組織の病態が侵襲なく視覚化できるようになってきた.中でも関節エコー検査は,リアルタイムにかつ動的な評価が可能であることから,その病態の把握に非常に有用であるといえる.
また,RAの治療薬は大きな進歩をとげており,メトトレキサート(MTX)や生物学的製剤およびJAK阻害薬の使用によって,治療目標である臨床的寛解もしくは低疾患活動性を達成できる患者の割合はかなり高くなったといえる.しかし,RAの治療薬は数多く,治療経験の少ない医師にとってはその選択がむずかしく感じられることがあると考えられる.
そこで本稿では,RAの診断に必要なエコー所見および鑑別診断が必要な他の疾患のエコー所見について解説し,RAの薬物治療の基本的な考え方について言及する.
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