Japanese
English
経験と考察
大腿骨近位部骨折早期手術患者の入院時深部静脈血栓症の治療の現状
Current status of treatment of deep vein thrombosis on admission for early hip fracture
松尾 智哉
1
,
植木 正明
2
,
深澤 高広
1
,
伊藤 淳
1
,
佐藤 啓三
1
T. Matsuo
1
,
M. Ueki
2
,
T. Fukazawa
1
,
J. Ito
1
,
K. Sato
1
1西脇市立西脇病院整形外科
2西脇市立西脇病院麻酔科
1Dept. of Orthop. Surg., Nishiwaki Municipal Hospital, Nishiwaki
キーワード:
hip fracture
,
DVT
,
anticoagulation therapy
,
Wells score
Keyword:
hip fracture
,
DVT
,
anticoagulation therapy
,
Wells score
pp.429-432
発行日 2021年5月1日
Published Date 2021/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei72_429
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は じ め に
欧米では大腿骨近位部骨折は術後合併症および死亡率の軽減のため,早期手術を推奨1,2)している.高齢者の大腿骨近位部骨折患者の合併症の一つに深部静脈血栓症(DVT)があり,膝窩静脈より中枢(近位部)に発症した急性DVTは,重篤で致死的な肺血栓塞栓症を引き起こすと報告3)されている.大腿骨近位部骨折患者のなかには,入院時にすでにDVTが存在している4,5)との報告があり,われわれも大腿骨近位部骨折後2日以上の経過で急性近位型DVTが増加することを報告6)した.大腿骨近位部骨折の早期手術をめざすには入院時のDVT合併患者に対する周術期のDVT治療戦略が必要となる.
当院では,大腿骨近位部骨折患者の入院時にWellsスコア7)を利用した臨床的確率推定8),D-dimer検査,下肢静脈超音波によるDVTスクリーニング検査とDVTの診断結果に基づく抗凝固療法プロトコルを作成して,早期手術を行っている.本研究では,入院時DVT合併大腿骨近位部骨折患者に対するDVT診断と抗凝固療法プロトコルによる抗凝固療法の現状と術後肺塞栓発症,症候性DVT発症について検討し報告する.
© Nankodo Co., Ltd., 2021