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は じ め に
院内心停止の状態で発見されハリーコール[あるいは心肺蘇生法(CPR)コール,コードブルー]を鳴らしても患者の予後は良好でないため,先回りして治療介入するシステムが注目を浴びている.それは院内急変対応システム(rapid response system:RRS)と呼ばれ,多職種からなるその専門チームがrapid response team(RRT)である1~5).RRSは診療科の垣根を超えた存在であり,整形外科とも深く関与している.仙頭ら1)は,RRSが起動した術後7日以内の患者6例中2例は人工股関節全置換術後の整形外科入院患者であり,うち1例は集中治療室(ICU)移動後に急変し,RRSなしでは救命不能であった可能性が高かったと報告している.
当院においては救急救命医を中心に2014年4月にRRTが結成され,翌年5月から活動を開始した2).以後5年間にわたり,院内急変対応のほか,教育活動・院内備品整備活動・学術活動を精力的に行ってきた2).しかし,2020年5月15日に突然RRTは休止を宣言し,以後当院はRRSを約2年にわたり失っていた.
患者の異常所見を発見しRRTへ連絡することの多い職種は,患者を頻回に観察している看護師であろう.小池ら3)も講習会参加者の71%は看護師であり,看護師はRRSの鍵となると述べている.そのため,看護師の肉声に耳を傾けることは大きな意義がある.さらにわが国ではRRSに関するアンケート調査が散見されるが3,4),活動中止後のタイミングで行った報告はない.失った後にはじめて気づくこともあり,その点からも本報告は貴重と考える.
本稿の目的は,看護師へ行った二度のアンケート結果を分析し,急性期病院特に整形外科病棟におけるRRSの意義について考察を加えることである.
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