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Continuous local antibiotics perfusion(CLAP)とは,経静脈的には届きにくい感染巣に抗菌薬を持続的に灌流させて感染を制御する治療の概念である.整形外科領域の骨軟部感染症においてはインプラントやその周囲にできる死腔には抗菌薬が届きにくく,インプラント周囲に形成されるバイオフィルムは抗菌薬に高度の耐性を示す.そのため,経静脈的には移行させにくい,感染巣に効率よく抗菌薬を移行させて全身的な影響が少ない局所投与が望ましい.われわれは,骨髄針を用いて骨髄腔に抗菌薬を注入するintra-medullary antibiotics perfusion(iMAP)と,軟部組織に投与するintra-soft tissue antibiotics perfusion(iSAP)を組み合わせて抗菌薬を病巣に移行させてきた.iMAPには,東北大式骨髄穿刺針(泉工医科工業社)を用いていたが,現在はiMAPピン(Cubex社)が提供されている(図1).iSAPとしては,ダブルルーメンのセイラムサンプチューブ(日本コヴィディエン社)で20Fr以上のものを用いている.サブ回路から抗菌薬の注入を行い,メイン回路は陰圧をかけることで抗菌薬を効率よく感染巣に誘導しながら灌流させる1).薬液の注入には骨髄内圧の影響を受けずに正確に注入できるシリンジポンプが適している.また創が閉じられないことも多くnegative pressure wound therapy(NPWT)で創を管理し,またその回路にY字コネクタを介してセイラムサンプチューブを組み込むことで,一定の陰圧をかけることができる.このようにCLAPは抗菌薬の感染巣への注入,陰圧による圧勾配が薬液を効率よく拡散して,死腔の管理ができる新たなドラッグデリバリーの形態である(図2)2)
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