Japanese
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連載 卒後研修講座
手指スポーツ傷害の診断と治療
-――早期競技復帰のためにできること
Diagnosis and treatment for sports injuries of the hand and finger:tips for early return to play
長尾 聡哉
1
S. Nagao
1
1板橋区医師会病院整形外科
1Dept. of Orthopedics and Rehabilitation, Itabashi Medical Association Hospital, Tokyo
キーワード:
mallet finger
,
dorsal fracture dislocation
,
proximal interphalangeal joint metacarpal shaft fracture
,
ulnar collateral ligament injury
,
thumb metacarpophalangeal joint
Keyword:
mallet finger
,
dorsal fracture dislocation
,
proximal interphalangeal joint metacarpal shaft fracture
,
ulnar collateral ligament injury
,
thumb metacarpophalangeal joint
pp.1383-1389
発行日 2022年12月1日
Published Date 2022/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei73_1383
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は じ め に
近年,いわゆる “コロナ禍” によって国内外,そしてプロアマ問わずスポーツ活動が制限されてきた.その後,新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチン接種がすすむにつれて “withコロナ” の方向に施策の舵が切られ,徐々にではあるがスポーツ活動が再開されている.したがって,スポーツ活動が活発化するのに伴って日常診療におけるスポーツ傷害の遭遇頻度が増加することが容易に推察できる.スポーツ傷害のうち,下肢スポーツ傷害は「歩く/走る」に直結するためかクローズアップされがちであるのに対し,上肢,特に手指スポーツ傷害は軽視されがちな印象は否めない.しかしながら,手指スポーツ傷害は「投げる/握る/掴む/殴る」などスポーツ特有の動作に密接な関連を有するため,関節可動域制限や握力低下などの後遺障害を残すと競技レベル維持,ひいては競技継続が困難になることも容易に想像できる.したがって,手指スポーツ傷害治療においては治療法のみならず,受傷指,利き手/非利き手,競技特性・レベル,試合間隔などもふまえた治療方針が要求される.筆者は野球に代表される「投げる」競技,テニス・ゴルフなどの「握る」競技,ボクシング・キックボクシングなどの「殴る」競技に従事する選手の手指スポーツ傷害治療に携わってきた.その経験をふまえ,代表的な疾患を提示して治療法や注意すべき事柄などを概説する.
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