Japanese
English
臨床経験
小児に発生した母指MP関節背側脱臼の2例
Dorsal Dislocation of the Thumb MP Joint in Childhood : A Report of Two Cases
岩本 淳
1
,
橋本 靖
1
,
大野 修
1
,
小村 孝
1
,
芝 昌彦
1
,
前野 耕一郎
1
Atsushi Iwamoto
1
1三田市民病院整形外科
1Department of Orthopaedic Surgery, Sanda City Hospital
キーワード:
dorsal dislocation
,
背側脱臼
,
thumb metacarpophalangeal joint
,
母指中手指節関節
,
arthrography
,
関節造影
Keyword:
dorsal dislocation
,
背側脱臼
,
thumb metacarpophalangeal joint
,
母指中手指節関節
,
arthrography
,
関節造影
pp.1031-1034
発行日 2000年8月25日
Published Date 2000/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408908401
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抄録:小児にみられた母指MP関節背側脱臼の2例を報告する.症例1は10歳男児で,喧嘩をして相手の手が左母指に当たり背屈を強制され受傷した.症例2も10歳男児で,サッカーボールが右母指に当たり,母指の過伸展強制により受傷した.いずれもMP関節過伸展,IP関節軽度屈曲位変形を示し,徒手整復可能であったが,整復後に関節の不安定性がみられた.一般に本外傷は,徒手整復が可能で通常側副靱帯は損傷されず,整復後は不安定性を示さない.今回の報告例では,脱臼時に側副靱帯とともに中手骨骨膜が剥離され,その結果,強い不安定性を示したが,これは骨膜が厚い小児期に特有の病態とみられた.1例目は手術を施行し結果的に骨膜を縫合したが,2例目ではギプス固定による保存療法にて良好な結果を得た.小児の母指MP関節背側脱臼では,側方不安定性があっても骨膜の剥離による場合には保存的治療が可能で,関節造影検査などでの病態把握が重要である.
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