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特集 ロコモティブシンドロームの現況
Ⅴ.ロコモ広報と地域活動・検診の実践
2.ロコモザワールド宮崎構想
Locomo The World “Miyazaki”
帖佐 悦男
1
E. Chosa
1
1宮崎大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Faculty of Medicine, University of Miyazaki, Miyazaki
キーワード:
locomotive syndrome
,
medical collaboration
Keyword:
locomotive syndrome
,
medical collaboration
pp.654-658
発行日 2021年5月20日
Published Date 2021/5/20
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei72_654
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は じ め に
超高齢社会を迎え,国は「2040年を展望し,誰もがより長く元気に活躍できる社会の実現に向けて」を提唱し,「健康寿命延伸プラン」や「医療・福祉サービス改革プラン」を策定した.健康寿命延伸のために,健康無関心層を含めた予防・健康づくりの推進や地域・保険者間の格差の解消をかかげている.健康寿命延伸のための介護予防としてロコモティブシンドローム(運動器症候群,ロコモ)は重要である.その理由として,国民生活基礎調査の概況(2019年)では1),介護が必要となった主な原因として,運動器疾患(関節疾患,骨折,転倒,脊髄損傷)は総計24.8%(要支援34.6%,要介護20.5%)ともっとも多く,ロコモの原因となる変形性腰椎症(腰部脊柱管狭窄症),変形性膝関節症,骨粗鬆症のいずれか1つ以上を罹患していると推定される人(ロコモ,ロコモ予備軍)は,男性2,100万人,女性2,600万人,合計4,700万人いるとされているからである2).国民の3人に1人がロコモの原因となる三大疾病に罹患しており,新国民病と呼ばれるようになった.本稿では,要介護者数減少のために喫緊の課題であるロコモ対策(ロコモザワールド宮崎:広報と地域活動,検診)について概説する.
ロコモ対策に関し,宮崎県では宮崎大学,県・市郡医師会,県市町村(行政),企業や協会などと連携し「ロコモザワールド宮崎」構想を実施している(図1)3~5).その概要は,運動器(ロコモ)疾患に関する研究,教育,啓発,予防活動などである.宮崎県におけるロコモ啓発・予防事業の取り組みの特徴は,スタッフ育成のうえ子どもから高齢者を対象に実施していることである.
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