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は じ め に
診療ガイドラインとは,Minds診療ガイドライン作成マニュアル編集委員会によれば,「健康に関する重要な課題について,医療利用者と提供者の意思決定を支援するために,システマティックレビューによりエビデンス総体を評価し,益と害のバランスを勘案して,最適と考えられる推奨を提示する文書」と定義されている1).変形性膝関節症(膝OA)に関する診療のガイドラインに関しては,欧州リウマチ学会議(European Alliance of Associations for Rheumatology:EULAR)2),国際変形性関節症学会(Osteoarthritis Research Society International:OARSI)3,4),米国整形外科学会(American Academy of Orthopaedic Surgeons:AAOS)5,6),European Society for Clinical and Economic Aspects of Osteoporosis,Osteoarthritis and Musculoskeletal Diseases(ESCEO)7,8),American College of Rheumatology/Arthritis Foundation(ACR/AF)9,10)がそれぞれの診療ガイドラインを発刊し,その改訂を行っている.以上のガイドラインはわが国の国民皆保険制度や大部分の膝OA例の診療を整形外科医が担っていることなどのわが国の診療環境を考慮していないため,わが国の診療に利用する際には非直接性が大きな問題となる.一方,わが国では日本整形外科学会変形性膝関節症診療ガイドライン作成委員会が『変形性膝関節症の管理に関するOARSI勧告 OARSIによるエビデンスに基づくエキスパートコンセンサスガイドライン』を2010年に公表しているが11),その後,改訂がなされていない.OARSIが2019年に改訂したガイドライン4)では推奨度を決定するOARSIエキスパートパネルはわが国を含む多くの地域からのメンバーからなり,わが国の診療に際して非直接性は比較的少ないと考えられる.そこで本稿では,膝OAの保存的治療に関するエビデンスをOARSI(2019)ガイドラインを中心に解説する.また,整形外科医による診療を考慮し,整形外科医が中心の学術学会であるAAOSが2021年に改訂したガイドラインの推奨も追加した6).
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