Japanese
English
論説
大腿骨近位部骨折患者の入院時急性深部静脈血栓の発症頻度と部位
Preoperative incidence of acute deep venous thrombosis in patients with hip fracture
和田 健佑
1
,
植木 正明
2
,
深澤 高広
1
,
伊藤 淳
1
,
佐藤 啓三
1
K. Wada
1
,
M. Ueki
2
,
T. Fukazawa
1
,
J. Ito
1
,
K. Sato
1
1西脇市立西脇病院整形外科
2西脇市立西脇病院麻酔科
1Dept. of Orthop. Surg., Nishiwaki Municipal Hospital, Nishiwaki
キーワード:
proximal femoral fracture
,
acute deep venous thrombosis
,
preoperative
Keyword:
proximal femoral fracture
,
acute deep venous thrombosis
,
preoperative
pp.945-948
発行日 2020年8月1日
Published Date 2020/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei71_945
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は じ め に
高齢者の大腿骨近位部骨折は深部静脈血栓症(deep venous thrombosis:DVT)を引き起こす1).特に膝窩静脈より中枢(近位部)に発症した急性血栓は,重篤で致死的な肺血栓塞栓症を引き起こす可能性がある2).受傷から入院までの期間は患者によってさまざまであり,さらに待機期間が長くなると手術前のDVT発症,特に近位部の急性DVT発症が増加すると予想され,近年術前でのDVTの診断が注目されている3).
欧米では大腿骨近位部骨折は早期手術を推奨しているが,日本では現在の医療体制では困難なことが多いとされている4).より安全に大腿骨近位部骨折の早期手術を実施するには,術前に急性DVTの診断とその対策が必要と考えられる.
本稿では,骨折時から入院までの経過期間による急性DVTの発症頻度と発症部位から,大腿骨近位部骨折の早期手術時の術前DVT診断の必要性を検討した.
© Nankodo Co., Ltd., 2020