Japanese
English
経験と考察
母指手根中手関節症に対する第1中手骨対立外転骨切り術における亜脱臼の術前術後評価とその適応
Preoperative and postoperative evaluation of subluxation in the first metacarpal abduction-opposition osteotomy for thumb carpometacarpal arthropathy and its indication
松田 匡弘
1
,
矢野 良平
1
,
櫛田 学
2
M. Matsuda
1
,
R. Yano
1
,
M. Kushida
2
1福岡整形外科病院
2櫛田学整形外科クリニック
1Fukuoka Orthopaedic Hospital, Fukuoka
キーワード:
carpo-metacarpal osteoarthritis
,
osteotomy
,
subluxation
Keyword:
carpo-metacarpal osteoarthritis
,
osteotomy
,
subluxation
pp.1233-1237
発行日 2021年11月1日
Published Date 2021/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei72_1233
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
は じ め に
母指手根中手(CM)関節症に対する第1中手骨矯正骨切り術は,ロッキングプレートを用いた固定が可能となり,近年再び良好な成績が報告されている1).特にFutamiらの対立外転骨切り術(abduction-opposition wedge osteotomy:AOO)2)は,疼痛を軽減するメカニズムとして,亜脱臼が改善されることで残存した軟骨部に荷重がかかるようになると推測されている.矯正方向は対立外転方向だけでなく,伸展方向(橈側外転)3),外転方向(掌側外転)4)などの報告があり,いずれの術式がもっとも優れているか一定の見解はない.さらにそれぞれの術式において矯正角度の根拠を明らかにする報告は渉猟しえず,根拠に乏しいと考えられる.
特にAOOでは画一的に外転対立方向に30°の矯正骨切りを行うのみで,亜脱臼の改善や整復位の獲得がどのように得られているかといったメカニズムが十分には解明されていない.またEaton分類stage Ⅲ以上であっても良好な術後成績の獲得が可能であるが1),その機序は不明である.本研究では,母指CM関節症における亜脱臼を術前後3D-CTを用いて評価することで,本術式の適応と限界を検討した.
© Nankodo Co., Ltd., 2021