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骨粗鬆症性椎体骨折後の偽関節発生危険因子の解析
Risk factors of nonunion after acute osteoporotic vertebral fractures:a prospective multicenter cohort study
猪瀬 弘之
1
H. Inose
1
1東京医科歯科大学大学院整形外傷外科治療開発学
1Dept. of Orthop. Trauma. Res., Tokyo Medical and Dental University, Tokyo
キーワード:
osteoporotic vertebral fracture
,
nonunion
Keyword:
osteoporotic vertebral fracture
,
nonunion
pp.1115-1118
発行日 2021年9月1日
Published Date 2021/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei72_1115
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【要 旨】
目 的:椎体骨折はもっとも一般的な骨粗鬆症性骨折であるが,新鮮骨粗鬆症性椎体骨折(OVF)後48週の段階での偽関節発生を予測する危険因子についてはいまだ明らかではない.本研究の目的は,新鮮OVF後に偽関節にいたる患者集団の特徴を明らかにし,骨癒合群と偽関節群を比較して,偽関節の危険因子を特定することである.
対象および方法:1椎体の新鮮OVFを受傷した65~85歳の女性患者を対象とした.48週間にわたり,単純X線像での楔状化率(0,12,48週),単純MRI(0,48週)およびアンケート形式による疼痛などの自覚症状の変化(腰痛VAS,EQ-5Dを用いたQOL評価,JOABPEQ)を定期的に評価した.
結 果:48週間の経過観察を完了した166例のうち,29例が偽関節であった.偽関節群は骨癒合群と比較して,EQ-5DおよびJOABPEQの歩行機能障害,社会生活障害,心理的障害,および腰椎機能障害のスコアが低かった.そして,OVF後の偽関節発生の独立した危険因子は,急性期においてはMRI T1強調画像でのびまん性低信号型とMRI T2強調画像でのびまん性低信号型および液体貯留型であった.また,12週の段階での危険因子は楔状化率およびJOABPEQの社会生活障害スコアであった.
結 論:OVF受傷後急性期のMRI T1強調画像のびまん性低信号型パターンとT2強調画像のびまん性低信号および液体貯留型パターンは,偽関節の独立した危険因子であった.したがって,これらの危険因子をもつ新鮮OVF患者については,偽関節の発生に注意しながら経過観察する必要がある.
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