Japanese
English
論説
骨粗鬆症性椎体骨折におけるドミノ骨折をきたす因子
Factors affecting domino fracture for osteoporotic vertebral fracture
久保田 聡
1
,
久保田 亘
1
S. Kubota
1
,
W. Kubota
1
1久保田整形外科医院
1Kubota Orthopaedic Clinic, Hiratsuka
キーワード:
osteoporotic vertebral fracture
,
domino fracture
,
factor
Keyword:
osteoporotic vertebral fracture
,
domino fracture
,
factor
pp.873-877
発行日 2025年8月1日
Published Date 2025/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei76_873
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は じ め に
わが国において急激な高齢化に伴い骨粗鬆症の患者が増えつつあり,骨粗鬆症性椎体骨折(osteoporotic vertebral fracture:OVF)の患者も増加している.OVFに対する治療は,脊柱管内への骨片による脊髄圧排の有無や患者背景などさまざまな因子を考慮して選択されるが,まずは装具療法や薬物療法などの保存療法を行うことが多い.OVFは保存療法にて,12週間の装具療法を行い,約80%以上の骨癒合が得られると報告されている1,2).しかし臨床上,OVFの保存療法中に新たな椎体骨折が生じるドミノ骨折が危惧され,疼痛の持続による生活の質(quality of life:QOL)や日常生活動作(ADL)の低下が懸念される.Kusukawaら3)はドミノ骨折群では3ヵ月での日本整形外科学会腰痛評価質問票の社会生活とOswestry能力指数,腰痛の程度の項目が有意に悪く,ドミノ骨折はその後のQOLの低下に寄与すると報告している.ドミノ骨折が生じうる患者背景や骨折型,臨床経過などを把握することは,ドミノ骨折を予防することにおいて重要であるが,ドミノ骨折をきたす因子についての確立した要因は明らかでない.
本研究の目的は,OVFにおいてドミノ骨折をきたす因子について検討することである.

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