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骨粗鬆症性椎体骨折に対する保存的治療後の慢性期の生活の質に関与する因子
Factors affecting the quality of life in the chronic phase of thoracolumbar osteoporotic vertebral fracture managed conservatively with a brace
猪瀬 弘之
1
,
加藤 剛
2
,
吉井 俊貴
3
,
髙橋 邦彦
4
,
大川 淳
3
H. Inose
1
,
T. Kato
2
,
T. Yoshii
3
,
K. Takahashi
4
,
A. Okawa
3
1東京医科歯科大学大学院整形外傷外科治療開発学
2青梅市立総合病院整形外科
3東京医科歯科大学大学院整形外科
4東京医科歯科大学M & Dデータ科学センターメディカル統計数理研究部門生物統計学分野
1Dept. of Orthop. and Trauma Research, Graduate School of Medical and Dental Science, Tokyo Medical and Dental University, Tokyo
キーワード:
osteoporotic vertebral fracture
,
QOL
,
non-union
,
subsequent fracture
Keyword:
osteoporotic vertebral fracture
,
QOL
,
non-union
,
subsequent fracture
pp.473-475
発行日 2023年5月1日
Published Date 2023/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei74_473
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【要 旨】
目 的:骨粗鬆症性椎体骨折(OVF)は骨粗鬆症性骨折のうち,もっとも頻度が高いものであるが,慢性期における生活の質(QOL)の低下に寄与する因子について詳細に調査した研究はほとんどない.そこで,われわれはOVFに対して保存的治療を行った患者のQOL低下に寄与する因子について検討を行った.
対象および方法:OVFに対する保存的治療のランダム化比較試験に参加した患者のうち,48週時点での画像的解析が可能であった195例について,回帰分析を用いて事後解析を行った.
結 果:単変量回帰分析の結果,年齢,48週時点での鎮痛薬の使用,MRIにおけるTh10~L5 Cobb角,続発性骨折,偽関節が受傷後48週時点でのEuroQol-5 dimension(EQ-5D)スコアと関連していた.そして,多変量回帰分析の結果,偽関節,鎮痛薬の使用,続発性骨折,MRIにおけるsacral slopeが独立因子と同定された.Receiver operating characteristic curve(ROC)解析の結果,MRIにおけるsacral slopeのカットオフ値は35°であった.
結 論:本研究の結果,偽関節,続発性骨折,MRIにおけるsacral slope低値がOVF後の慢性期におけるQOL低下に寄与していることが明らかとなった.したがって,これらの因子を予防もしくは改善することが,OVFを受傷した患者の慢性期のQOL改善に役立つと考えられる.
© Nankodo Co., Ltd., 2023