側弯変形を伴わないRoussouly分類type 1型成人脊柱変形の手術的治療 -――骨盤非固定における固定最下端椎決定の重要性

Surgical treatment of Roussouly type 1 of adult spinal deformity without scoliotic deformity：importance to determine lowest instrumented vertebra not extending to pelvis

は じ め に

　わが国の高齢者人口の増加に伴い，成人脊柱変形（adult spinal deformity：ASD）患者を治療する機会が急増している．ASD分類は思春期特発性側弯症（adolescent idiopathic scoliosis：AIS）のKing分類^1）やLenke分類^2）と比べて歴史が浅く，2005年のAebi分類^3）に始まり，翌年に発表されたScoliosis Research Society（SRS）分類^4）とSchwab分類^5）が融合し，2012年に米国からSRS-Schwab分類^6）として提唱されて以来，矢状面アライメントを重要視した矯正固定術が広く普及してきた．しかし，本分類にはLenke分類やSRS分類に記載のある胸腰椎後弯変形（thoraco-lumbar kyphosis：TLK）に関する記述はない．欧州では健常者の脊柱骨盤矢状面配列としてRoussouly分類（Roussouly classification：R-C）が提唱・改変され（図1）^7,8），最近では，ASDの術式選択として患者固有のspinal shapeに沿った矯正固定術が術後の偽関節やproximal junctional kyphosis（PJK）などの機械的合併症の予防に有用であると報告されている^9～12）．本研究では，側弯変形を伴わずTLKの著明なR-C type 1型ASDの手術的治療を経験し，脊柱骨盤矢状面アライメントの推移と骨盤非固定における固定最下端椎（lowest instrumented vertebra：LIV）決定の重要性について検討したので報告する．