書評
『脊椎脊髄病用語事典(改訂第6版)』
髙橋 淳
1
1信州大学運動機能学教授
pp.1426-1426
発行日 2020年12月1日
Published Date 2020/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei71_1426
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- 文献概要
本書は「脊椎外科の用語事典」として,酒匂崇鹿児島大学名誉教授を委員長として1995年に刊行されて以来,5年ごとの改訂を行っています.1995年は私が専門を脊椎外科に決めた年であり,非常に感慨深く感じます.脊椎脊髄外科領域では,この25年の間に劇的に診断,治療がかわりました.1995年は,腰椎椎間板ヘルニアの自然吸収が判明した時期にあたります.かつて,指導医の先生が腰椎椎間板ヘルニアの患者さんを外来で診察し,脊髄造影の後,手術のために入院してきたときの看護記録の主訴には「なんの症状もない」と記載されており,いざ手術をしてみるとヘルニアがなかった,という経験がありました.ヘルニアの自然吸収について後に学会で拝聴し,その症例は自然吸収されたのだと考えたものです.また,当時は,腰椎除圧術は術後2週間床上安静,固定術は術後3週間床上安静でしたが,今では手術翌日に離床するのが当たり前のようになっております.脊椎内視鏡手術,脊椎ナビゲーション手術も1996年ごろに日本に入ってきました.脊椎低侵襲手術は除圧術からpercutaneous pedicle screw(PPS),extreme lateral interbody fusion(XLIF),oblique lateral interbody fusion(OLIF)などへの固定術,さらには矯正術にまで発展して,脊椎ナビゲーション手術も,術前CTナビゲーションから,O-armやハイブリッドナビゲーション手術室などの術中CTナビゲーションへと進化が続いております.
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