BOOK REVIEW
『医療の質用語事典』
副島 秀久
1,2
1済生会熊本病院
2TQMセンター
pp.1023
発行日 2005年12月10日
Published Date 2005/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100281
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著者のひとりである飯塚氏と筆者は以前,学会でシンポジストとして同席した経験がある。医療界に本格的な質管理部署がないという事実に工学系を代表した飯塚氏は驚きを示された。医療界側から出ていた筆者としてはその直接的な指摘に,やや歯がゆく,またくやしい思いをしたのを記憶している。しかし,振り返ってみれば医療界は工学系にくらべ,質の議論をほとんどしてこなかったといわれてもやむを得ない歴史がある。
なぜ質の議論に踏み込めなかったかといえば,質が医療サービスの核心であり,核心であるがゆえに同業者の腕の評価でもある議論にはなかなか触れがたいところがあった。もう一つは裁量権という名の,ある種のわがままで,主治医であれば何でも許され,何でも拒否できるという思い上がりもあったと筆者自身,大いに反省しているところである。
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