特集 脊椎脊髄病学最近の進歩 2003(第31回日本脊椎脊髄病学会より)
序:脊椎脊髄病学最近の進歩―第31回日本脊椎脊髄病学会より
田島 直也
1
1宮崎医科大学整形外科
pp.374-375
発行日 2003年4月1日
Published Date 2003/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408100670
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第31回日本脊椎脊髄病学会は2002(平成14)年6月6日と7日の2日間にわたり,宮崎で開催された.応募総数471題の中から厳正な査読・評価の結果,口演265題・展示117題,合計382題が採用された(採用率:約80%).改めて言うまでもないが脊椎機能の理解にバイオメカニクスは不可欠であり,脊椎手術そのものが現代医学と生体力学・工学的知識の集大成であるともいえる.そこで現在のバイオメカニクス研究の最先端を知るうえで,主題として「脊椎のバイオメカニクス」を取り上げたところ,予想を上回る数の演題が集まった.これらの中から「頚椎」,「腰椎」各々主題・主題関連・展示発表としてご発表いただいたが,各会場で医学・工学的見地から活発な討論が行われた.
全体の印象として,1)研究手段として屍体実験や動物実験,有限要素法などのコンピュータシミュレーション,健常人ボランティアの計測など手法的バリエーションに富んでいたこと,2)病理所見と生体力学的所見を比較検討したものや手術の他椎間に及ぼす影響をみたものなど,より生体側の見地に立った詳細な研究が多かったこと,3)反対に,どのインストゥルメンテーションがより強固であるかといった研究が少なかったことなどが感じられた.主催者としては今後のバイオメカニクス研究の方向性においてある程度示唆的な役割が果たせたのではないかと安堵すると同時に,これからもさらに一般的な研究手段として発展する可能性を感じて意を強くした次第である.
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