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は じ め に
腰仙部の固定アンカーについて,これまで仙骨翼-腸骨[S2 alar iliac(AI)]スクリュー,仙骨翼スクリュー,トランスバースロッド,腸骨スクリュー,Galveston法などの補助固定手技が報告されている.
そのうち仙腸関節を貫き腸骨に太く長いスクリューを挿入できるS2AIスクリューの固定力がもっとも強いと考えられており,近年では成人脊柱変形や骨盤外傷などにS2AIスクリューが用いられている1,2)(図1).
S2AIスクリュー手技では,多くは透視を用いたiliac tear drop法や正面透視法,さらにはナビゲーションを用いた方法が一般的である3,4).
透視法では創部を展開したうえで挿入を行うが,慣れないと涙滴像(teardrop)の描出がむずかしいことやベッドフレームの問題などから困難な例も知られる.また,透視時間が長くなることから医療被曝の問題も危惧される.一方でポイントレジストレーションによるナビゲーション手技では,仙椎の特徴から凹凸箇所に乏しく正確なナビゲーションが得られにくいという問題があり,また体位の影響も受けやすい.
S2AIスクリューの挿入では,仙腸関節でプローブが逸脱しやすいことやガイドワイヤー越しに中空螺子を挿入する際にも,ガイドワイヤーを抜去するタイミングによっては,スクリューが仙腸関節をすべって前方(骨盤腔内)へ誤挿入するなどの合併症が生じることも知られる.
近年,注目されている術中CTナビゲーションを用いたコンピュータ支援整形外科手術(computer assisted orthopaedic surgery:CAOS)では,S2AIスクリューの挿入でこれらの問題を改善することができるとともに,より低侵襲な腰椎腸骨固定(L5-S1S2AI固定)を行うことが可能となる(図2).しかしながら,CAOSを用いた経皮的手技を考慮した場合,S2AIスクリューの挿入方向がL5,S1スクリューと逆方向になり,S2AIスクリューの挿入箇所がより正中になるためロッドの配列を慎重に考慮しなければいけない.
本稿では,われわれが行っているCAOSを用いたオールイメージレスな低侵襲経皮的spino-pelvic法(percutaneous spino-pelvic fixation:PSPF手技)について症例をふまえ報告する.
© Nankodo Co., Ltd., 2020