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少年野球選手における膝痛と腰痛の関連
-――横断研究
Knee pain is associated with lower back pain in young baseball players;a cross-sectional study
矢部 裕
1
Y. Yabe
1
1東北大学大学院整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Tohoku University Graduate School of Medicine, Sendai
キーワード:
low back pain
,
knee pain
,
baseball
,
young athlete
Keyword:
low back pain
,
knee pain
,
baseball
,
young athlete
pp.1031-1034
発行日 2020年8月1日
Published Date 2020/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei71_1031
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【要 旨】
目 的:腰痛は野球選手にとって頻度の高い愁訴である一方,その報告は少ない.投球や打撃動作において,力は下肢から腰部を通り上肢へ伝達される.下肢痛は運動連鎖を障害し腰痛を発症しうる可能性があり,下肢の愁訴と腰痛の関連を理解することは重要である.本研究の目的は,少年野球選手における膝痛と腰痛との関連を明らかにすることである.
方 法:宮城県スポーツ少年団に所属する1,609名の少年野球選手(6~15歳)を対象に,自記式アンケートによる横断調査を行った.膝痛と腰痛との関連を多重ロジスティック回帰分析を用いて解析した.解析に使用する共変量は性別,年齢,BMI,競技レベル,1週間の練習日数,1日の練習時間(平日,休日),試合への参加頻度,練習のつらさ,ポジションとした.
結 果:腰痛および膝痛を有する選手の割合はそれぞれ8.4%,13.1%であった.膝痛は有意に腰痛に関連があり,「膝痛なし」を基準とした調整オッズ比(95%信頼区間)は「膝痛あり」で5.83(3.93~8.65)(p値<0.001)であった.
結 論:少年野球選手において膝痛が有意に腰痛に関連していた.少年野球選手における腰痛の予防・治療のために膝痛に注意を向ける必要がある.
© Nankodo Co., Ltd., 2020