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重度骨盤後傾患者に対する骨盤傾斜を補正した寛骨臼コンポーネント設置は腸腰筋インピンジメントと関連する
-――三次元モデルを使用したコンポーネント設置シミュレーション解析
Tilt-adjusted cup anteversion in patients with severe backward pelvic tilt is associated with the risk of iliopsoas impingement;a three-dimensional implantation simulation
上野 琢郎
1
,
加畑 多文
1
,
土屋 弘行
1
T. Ueno
1
,
T. Kabata
1
,
H. Tsuchiya
1
1金沢大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Kanazawa University, Kanazawa
キーワード:
tilt adjusted anteversion
,
iliopsoas impingement
,
THA
Keyword:
tilt adjusted anteversion
,
iliopsoas impingement
,
THA
pp.1035-1039
発行日 2020年8月1日
Published Date 2020/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei71_1035
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【要 旨】
目 的:人工股関節全置換術において寛骨臼骨縁からの寛骨臼コンポーネントの突出(overhang)は,腸腰筋腱とコンポーネント縁間の干渉(iliopsoas impingement:IPI)を惹起し,術後の前鼡径部痛を誘発する.本研究の目的は,以下の問いを解明することである.
① 骨盤後傾を補正したコンポーネント設置に伴うoverhangの増加量はどれほどか.
② Overhangの増加はIPIを惹起しうるほど重度か.
対象および方法:128股(寛骨臼形成不全群73股,非形成不全群55股)を対象とした.1股のCTデータから中間位骨盤,10°後傾骨盤,20°後傾骨盤の三つのモデルをそれぞれ作成し,それぞれの骨盤モデルにおいてcupモデルを,骨盤後傾を補正したfunctional alignmentで設置した.Overhang 12mm以上をoverhangの閾値と定義し,ロジスティック回帰分析を行った.
結 果:Overhangは骨盤後傾を10°補正するごとに平均5mm増加した.寛骨臼形成不全[p=0.030,オッズ比(非形成不全股に対し)=2.2],寛骨臼前方開角(p<0.001,オッズ比=1.4),骨盤後傾補正[10°の補正p<0.001,オッズ比(中間位骨盤に対し)=15,20°の補正p<0.001,オッズ比(中間位骨盤に対し)=333]は独立してoverhang≧12mmと関連した.
結 論:重度骨盤後傾を補正したcup設置はIPIを惹起しうるほどのoverhangを認めることが示された.
© Nankodo Co., Ltd., 2020