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【要 旨】
目 的:変形性膝関節症(膝OA)においてMRIで評価した骨髄病変(bone marrow lesion:BML)が膝の痛みと関連することは報告されているが,単純X線像上の膝OA変化が生じる前段階(早期膝OA)でのBML発生要因を調査した研究は少ない.本研究の目的は,一般地域住民女性を対象に早期膝OAに着目してBML発生を調査し,骨密度および骨代謝マーカーとの関連を調査することである.
対象および方法:2017年度の一般地域住民健診参加者のうち,単純X線像上の膝OA変化を認めず,かつ膝関節MRIを施行した女性266例を対象とした.BMLはMRIの脂肪抑制T2強調画像でWhole-Organ Magnetic Resonance Imaging Score(WORMS)に基づき評価した.骨密度はDXA法により橈骨遠位1/3部位を測定した.骨代謝マーカーは早朝空腹時採血よりBAP,P1NP,NTx,TRACP-5b,ペントシジン,ホモシステインを測定した.膝症状はKnee injury and Osteoarthritis Outcome Score(KOOS)で評価し,各下位尺度は85%以下を陽性として2項目以上陽性の場合,膝症状ありと定義した.重回帰分析を行いBMLと骨密度および骨代謝マーカーとの関連を検討した.
結 果:BMLは94例(35.3%)に認めた.BMLあり群ではKOOSおよび骨密度は有意に低値であり,BAP,P1NP,NTx,TRACP-5bおよびペントシジン濃度は有意に高値であった.重回帰分析では膝症状あり群でBMLと骨密度に有意な相関を認め,骨代謝マーカーに関しては,BAP,P1NPが有意な相関を示した.
結 論:早期膝OAの集団でBMLと骨密度の間に負の相関を認め,骨代謝マーカーの上昇と正の相関を認めており,骨脆弱性がBMLの発生と関連する可能性が示唆された.
© Nankodo Co., Ltd., 2020