学会を聞く
第48回日本脊椎脊髄病学会
有馬 秀幸
1
,
松山 幸弘
1
H. Arima
1
,
Y. Matsuyama
1
1浜松医科大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Hamamatsu University School of Medicine, Hamamatsu
pp.1421-1424
発行日 2019年12月1日
Published Date 2019/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei70_1421
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1.は じ め に
2019年4月18日(木)~20日(土)にパシフィコ横浜(横浜市)で波呂浩孝会長(山梨大学)のもと,第48回の伝統ある本学会学術集会は開催された.本学会は1974年脊椎外科研究会として発足し,同年4月に慶應義塾大学・岩原寅猪会長のもと第1回総会が開催された.その後1985年には日本脊椎外科研究会,1990年には日本脊椎外科学会,そして2001年から日本脊椎脊髄病学会に移行している.脊椎脊髄疾患に関する研究を促し,研究者の交流を図るとともに研究成果と知識の公表および普及を通して人類の健康の保持・増進に資することを目的として年1回開催されており,2018年1月現在会員数は3,815名となっている.
第48回のテーマは「事上麿錬」と中国明(みん)の時代,王陽明の言葉を記録した『伝習録』から引用されていた.この言葉は静坐をして心を鎮めて鍛錬するだけでは不十分で,現実の社会で活動しその中で道を求めて鍛錬することの重要性を論じている.医療の中に置き換えると,本来の日常診療の中で,患者さんへの診療を通じて,医学や医療を鍛錬することが重要であるという意味となる.本学術集会では日本全国はもとより,北米,中米,ヨーロッパ,アジア,中東など計13ヵ国から合計1,603題の演題登録があり,そのうち1,079題(採択率67.3%)が採択された.脊椎医療/医学を鍛錬し,国際的にもさらに高めようとする熱い議論が,幕末に日米通商条約で開港し,日本の国際化に大きく寄与した横浜港近くのパシフィコ横浜において4月の清々しい青空の下に行われた.
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