Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
【要 旨】
目 的:術中脊髄モニタリングにおける経頭蓋電気刺激筋誘発電位[Br(E)-MsEP]は鋭敏で有効手法といえるが,比較的高い偽陽性が問題である.Br(E)-MsEP波形における報告の多くはamplitude低下を基準としているが,これまでにlatencyについての検討はほとんどない.本研究の目的は,Br(E)-MsEP波形のlatencyを評価し,latency・amplitudeとの組み合わせによる有効なアラームポイントを検討することである.
対象および方法:単一施設で術中Br(E)-MsEPを使用した脊椎脊髄手術83例を対象とした.合計1,726筋による波形検出を行い,1,640筋数(95%)による波形導出が可能であった.Latencyは刺激開始時から導出されるまでの時間(onset latency)と定義し,術後麻痺およびlatency・amplitude変化およびその組み合わせによる検討を行った.
結 果:術後一過性麻痺は9例(11%)にみられた.Latency遅延については,2群比較(術後麻痺なし群/あり群)で有意にlatency遅延(9±6% vs. 31±14%,p<0.01)を認めた.術後麻痺の予測因子における受信者動作特性曲線(ROC曲線)を用いた検討では,latency 15%以上の遅延が感度78%,特異度96%であった.ベースラインからのamplitude 30%への低下,latency 10%以上の遅延が最適な組み合わせであった(感度100%,特異度93%,偽陽性7%,偽陰性0%,陽性適中率64%,陰性適中率100%).
結 語:術中Br(E)-MsEPにおける脊髄モニタリングにおいて,amplitude 30%以下への低下,latency10%以上の遅延が新たなアラームポイントの一つとして策定された.
© Nankodo Co., Ltd., 2019