Japanese
English
連載 専門医試験をめざす症例問題トレーニング
肩甲骨・肩・肘関節疾患
Shoulder and elbow disease
横井 広道
1
H. Yokoi
1
1四国こどもとおとなの医療センター小児整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Shikoku Medical Center for Children and Adults, Zentsuji
キーワード:
pulled elbow
,
child
,
fat pad sign
Keyword:
pulled elbow
,
child
,
fat pad sign
pp.1400-1405
発行日 2019年12月1日
Published Date 2019/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei70_1400
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症 例.3歳,男.
主 訴:左上肢を動かさない.
家族歴・既往歴:特記すべきことはない.
現病歴:母親がつないでいる児の左手を急に引っ張り上げた直後から,児は左上肢を動かさなくなった.心配した母親に伴われて来院した.
初診時所見:自分で歩いて診察室に入り,歩容に異常はなかった.泣いてはおらず,機嫌はそれほどわるくない様子であった.左上肢は下垂しており,前腕は軽度回内位であった.左手指の自動運動は可能であった.左上肢には明らかな皮膚の損傷や腫脹,出血斑はなかった.また鎖骨部,肩関節,上腕,肘関節,前腕,手関節,手部,手指を触診したが明らかな腫脹や圧痛はなかった.関節の他動可動域(ROM)は,肩関節はゆっくり動かすと90°以上挙上可能であり,疼痛の誘発はなかった.手関節は背屈,掌屈とも制限はなく,疼痛の誘発もなかった.肘関節は,30°程度までの屈曲では特に症状はなかったが,それ以上屈曲しようとすると,児は泣き顔となり疼痛があるようであった.左肘関節の単純X線像を示す(図1).
© Nankodo Co., Ltd., 2019