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MRIおよび超音波検査法による尺骨神経横断面積を用いた肘部管症候群の診断のためのカットオフ閾値と最適測定レベル
Optimal measurement level and ulnar nerve cross-sectional area cutoff threshold for identifying ulnar neuropathy at the elbow by MRI and ultrasonography
寺山 恭史
1
,
内山 茂晴
2
,
上田 和彦
3
,
岩倉 菜穂子
4
,
池上 章太
5
,
加藤 義治
6
,
加藤 博之
7
Y. Terayama
1
,
S. Uchiyama
2
,
K. Ueda
3
,
N. Iwakura
4
,
S. Ikegami
5
,
Y. Kato
6
,
H. Kato
7
1蓮田病院整形外科
2岡谷市民病院整形外科
3がん研有明病院画像診断部
4東京女子医科大学整形外科
5信州大学附属病院リハビリテーション部
6第三北品川病院
7信州大学医学部附属病院
1Dept. of Orthop. Surg., Hasuda Hospital, Hasuda
キーワード:
ulnar neuropathy
,
ultrasonography
,
MRI
Keyword:
ulnar neuropathy
,
ultrasonography
,
MRI
pp.1413-1416
発行日 2019年12月1日
Published Date 2019/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei70_1413
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【要 旨】
目 的:近年,肘部管症候群において超音波やMRIを用いた画像診断が用いられるようになっている.しかしながら,検査すべき高位やカットオフ値については,いまだ一定の見解がない.それらを明らかにするために肘部管症候群の患者群と対照群にMRIと超音波検査を行った.
対象および方法:検査は,MRIでは患者群30例,対照群28例に7高位の計測を行い,超音波では患者群12例,対照群24例に15高位の計測を行った.
結 果:尺骨神経横断面積はMRI,超音波とも上腕骨内側上顆(ME)の近位3cmから遠位3cmの範囲で,対照群よりも患者群のほうが有意に大きかった.両検査法ともに尺骨神経横断面積は内側上顆の近位1cmで最大であり,その値はMRIでは16.1±3.5mm2,超音波では17±7mm2であった.
考 察:MRI,超音波ともに肘部管症候群の診断のための尺骨神経横断面積のカットオフ値は11.0mm2が最適であり,その受信者動作特性曲線下面積(AUC)はMRIについては0.95,超音波については0.96であった.MRIと超音波による尺骨神経横断面積の計測値には有意差はなかった.検査の評価者内および評価者間信頼性はすべて0.77以上であった.尺骨神経横断面積は,尺骨神経機能障害が重度であった18例の患者において,軽度であった12例の患者よりも有意に大きかった.
結 論:MRIまたは超音波によりMEの1cm近くでMRIまたは超音波を使用して尺骨神経横断面積を測定することにより,肘部管症候群の有無にかかわらず,11.0mm2のカットオフ値で高い感度,特異性,および信頼性で患者を識別することができる.
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