Japanese
English
連載 専門医試験をめざす症例問題トレーニング
骨盤・股関節疾患
Pelvic and joint disease
名越 智
1
S. Nagoya
1
1札幌医科大学生体工学運動器治療開発講座
1Dept. of Musculoskeletal Biomechanics and Surgical Development, Sapporo Medical University, Sapporo
キーワード:
cementless
,
osteolysis
,
THA
Keyword:
cementless
,
osteolysis
,
THA
pp.1393-1399
発行日 2019年12月1日
Published Date 2019/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei70_1393
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
症 例.70歳代,男.
主 訴:右鼡径部痛.
家族歴・既往歴:特記すべきことはない.
現病歴:空手の回し蹴りの練習中に転倒した際,右股関節部痛を自覚した.症状が軽快しないために前医を受診し,前医で右セメントレス人工股関節全置換術(セメントレスTHA)を受けた.術後は疼痛が軽快し,術後1週間で杖歩行が可能となった.その後疼痛がなく経過し,日常生活動作(ADL)に支障はなかった.術後5年後に転倒した際に右鼡径部痛を感じ,体動困難となった.同医院を受診しX線像上,インプラントの弛みを指摘され,当科を紹介され受診した.
なお,5年前に使用された人工股関節のインプラントは,チタン製ステム,チタン製臼蓋カップ,コバルトクロム製人工骨頭,クロスリンクポリエチレンである.
初診時所見:体重65kg,身長165cm,body mass index(BMI)23.6であった.右鼡径部痛のために荷重ができず,松葉杖を使用しなければ移動できない状態であり,安静時痛も訴えていた.右大転子に叩打痛があり,Patrick testが陽性であった.股関節可動域(ROM)は屈曲60°(疼痛あり)/120°,伸展−10°/10°,外転30°(疼痛あり)/30°であった.
血液検査所見:白血球数(WBC)4,100/μl,C反応性蛋白(CRP)0.52mg/dlであった.
X線所見:前医受診時の両股関節単純X線正面像を図1に示す.THA直後と術後5年後の両股関節単純X線正面像を図2に示す.
CT所見:股関節単純CTを図3に示す.
© Nankodo Co., Ltd., 2019