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特集 整形外科画像診断・評価の進歩
Ⅳ.エコー
4.肘内障の超音波画像
Ultrasound features of pulled elbow
橘田 綾菜
1
,
皆川 洋至
2
A. Kitta
1
,
H. Minagawa
2
1東京女子医科大学八千代医療センター整形外科
2城東整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Tokyo Woman’s Medical University, Yachiyo Medical Center, Yachiyo
キーワード:
pulled elbow
,
Nursemaid elbow
,
annular ligament displacement
Keyword:
pulled elbow
,
Nursemaid elbow
,
annular ligament displacement
pp.641-645
発行日 2022年5月25日
Published Date 2022/5/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei73_641
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は じ め に
“内障” という言葉は,なんらかの関節内構成体の障害や損傷を示すものとして用いられてきた.肘内障は,超音波検査により病態の可視化が可能となった代表的な運動器疾患である.
「こどもの手を引っ張ってから腕を痛がり動かさない」という典型的な病歴と,単純X線検査で骨傷が否定されたら肘内障と診断し,整復時にクリックサインを触知し,バンザイができれば肘内障として矛盾なしと考える.これが従来の肘内障診療であった.しかし,好発年齢が2歳前後であるために,受傷機転がはっきりしない症例は少なくない.2,331例の肘内障例を検討したIrieらの報告では,“手を引っ張った” という病歴がない非典型例の割合は,1歳未満では73%,1歳以上では47%であったと報告している1).また,骨折があるにもかかわらず肘内障と誤診され,繰り返し整復操作を加えられ,痛みに苦しむこどもが多かった.そんなこどもたちへ超音波検査が救いの手をさしのべた2).軟骨や軟部組織がみえる超音波検査の発展により,肘内障の病態が輪状靱帯の脱臼であることが画像として可視化され,骨折との鑑別が可能となった.本稿では,超音波検査を用いた肘内障診療について解説する.
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