多中心性細網組織球症に両側人工股関節全置換術を行った1例

Bilateral hip arthroplasty in a patient with multicentric reticulohistiocytosis；report of a case

　多中心性細網組織球症（multicentric reticulohistiocytosis：MRH）はGoltzら^1）が命名した組織球性反応性肉芽腫症で，病態不明のまれな疾患である．MRHは主に皮膚，関節滑膜，骨，内臓諸臓器を侵す全身的な系統疾患である．発症は壮年期女性に多く，症状は上半身を中心に皮膚，粘膜の結節と関節症状を呈する．皮膚の結節は5～10年で自然消退するが，関節炎についての予後はわるく，約45％がムチランス型関節炎にいたると報告されている^2）．関節症状が皮疹に先行することも多く，関節リウマチ（RA）として治療されていることも多い^3）．われわれは，MRHによる股関節障害に対して両側セメントレス人工股関節全置換術（THA）を行った1例を経験したので報告する．