Japanese
English
問題点の検討
プレサルコペニアにおけるbody mass index,体脂肪率と痛みの関係
Relationship between body mass index, body fat mass and pain intensity in pre-sarcopenia
大川 皓平
1
,
田中 浩平
1
,
鈴木 大夢
1
,
髙橋 弦
1
,
稲毛 一秀
2
,
大鳥 精司
2
K. Okawa
1
,
K. Tanaka
1
,
H. Suzuki
1
,
Y. Takahashi
1
,
K. Inage
2
,
S. Ohtori
2
1山王整形クリニック
2千葉大学大学院整形外科
1Sannoh Orthopedic Clinic, Chiba
キーワード:
pre-sarcopenia
,
adipose tissue
,
pain
Keyword:
pre-sarcopenia
,
adipose tissue
,
pain
pp.1379-1383
発行日 2019年12月1日
Published Date 2019/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei70_1379
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は じ め に
人体には加齢によりさまざまな変化(退行変性)があらわれるが,加齢性筋減少症(サルコペニア)1,2)はその一つである.サルコペニアは筋量を減少させるだけでなく脂肪量を増加させることが報告されており,「サルコペニア肥満(sarcopenic obesity)3,4)」と呼ばれている.Body mass index(BMI)が25kg/m2以上のいわゆる単純性肥満だけでなく,加齢による内臓脂肪や皮下脂肪が過多になった状態も肥満であり,それもサルコペニア肥満とされる.サルコペニア肥満はインスリン抵抗性のメタボリックシンドロームにつながる可能性が高く,心血管イベント発生のリスクが高いと報告されている5).
肥満は痛みとの関連も示唆されている.脂肪細胞から放出される腫瘍壊死因子(TNF)αやインターロイキン(IL)-6などの炎症性サイトカインから痛みを増強させる物質であるプロスタグランジン,ヒスタミン,ブラジキニンが放出され,痛覚を伝えるサブスタンスPを発現させることが報告されている6).
サルコペニアは時間経過とともにロコモティブシンドロームや虚弱高齢者(フレイル)を惹起する.高齢者の日常生活動作(ADL)にもっとも影響する因子が痛みである7).サルコペニア,肥満,痛みが関連するとされるが6),その関連を明らかにした報告は渉猟した限りない.本研究の目的は,筋量低下(プレサルコペニア)例において,疼痛強度と体脂肪率との相関関係を明らかにすることである.
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