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【要 旨】
目 的:過去の報告から夏季に術後創部感染(surgical site infection:SSI)が多いことが知られており,経験の浅い医療スタッフの増加や高温多湿の気候が原因ではないかと推測されていた.しかし,医療スタッフの移動時期が夏季ではない国で術後SSIリスクの季節変動を検討した研究は,これまで存在しない.本研究の目的は,春季に医療従事者の移動が生じる日本において,脊椎固定術後のSSIリスクの季節変動を調査することである.
対象および方法:診断群分類(diagnosis procedure combination:DPC)データベースを用いて,2010年7月~2013年3月に待機的に脊椎固定手術を受けた20歳以上の患者を調査した.入院中に生じた術後SSIに対する再手術をアウトカムとした.調査する患者背景は年齢,性別,body mass index(BMI),喫煙歴,糖尿病,悪性腫瘍,透析,入院中の輸血の有無,麻酔時間,手術部位,病院タイプ,手術施行月とした.術後SSIのリスク因子を明らかにするために患者背景を調整し多変量解析を行った.
結 果:47,252(男性23,659,女性23,593)例(平均年齢65.4歳)を対象とした.術後SSIに対する再手術は438例(0.93%)に生じ,その発生率は4月がもっとも高く(1.25%),2月がもっとも低かった(0.62%).術後SSIに対する再手術のリスクは4月が有意に高かった[vs 2月:オッズ比1.93,95%信頼区間[confidence interval(CI)1.09~3.43,p=0.03].病院タイプで層別化を行ったサブ解析の結果,医育機関附属ではない病院においてSSIリスクの季節性変動はなかったが,医育機関附属病院において手術施行月はSSIに対する再手術のリスク因子であった.
結 論:医療従事者の異動が夏季ではない国の日本においても脊椎固定術後のSSIリスクは季節によって変動した.
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