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は じ め に
ある治療行為の結果は医療者側からのみの評価で報告されてきた.実際には医療者側と患者側の見方はしばしばまったく異なる場合がある.患者に供与するサービス業として,また公的資源を投入する国・地方自治体からみたパフォーマンスとしてこの解離は望ましくないため,近年になって評価として患者報告アウトカム(patient-reported outcome:PRO)が重視されてきたのは当然の帰結であった.一方,医療サービスの総合的評価としては患者満足度が重要であり,米国のメディケアでは患者満足度が診療支払い費に反映されているようである1).満足度はある意味「究極のPRO」である.
後縦靱帯骨化症(OPLL)など圧迫性頚髄症に対する頚椎椎弓形成術の手術成績は日本整形外科学会頚髄症治療成績判定基準(JOAスコア)や頚部脊髄症評価質問票(Japanese Orthopaedic Association Cervical Myelopathy Evaluation Questionnaire:JOACMEQ)などのPROでも調査され一般に良好とされている.筆者が関わった頚椎椎弓形成術後の患者満足度の分析を提示しつつ2~6),脊椎外科手術や医療全体の満足度に関する報告に考察を加えて紹介する.なお,満足度の医療における概念は統一されておらず7),調査法もさまざまであるが,筆者の関係した研究では一貫して以下の調査票を用いている(表1).①治癒の程度(1:たいへん満足~7:たいへん不満),②治療に対する満足度(1:たいへん満足~7:たいへん不満),③病気の状態の変化(1:きわめてとてもよくなった~7:きわめてとてもわるくなった),④同じ状況で再度手術を受けるか(1:絶対受ける~5:絶対受けない)の4項目である.
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