胸椎後縦靭帯骨化症に対する後方除圧固定術後の再手術—手術の実際と注意点

Reoperation after the Posterior Decompression and Instrumented Fusion for Thoracic OPLL, with Special Reference to the Details of Surgery and Tips

はじめに

　胸椎後縦靭帯骨化症（ossification of the posterior longitudinal ligament：OPLL）は，重度の胸髄症を呈し手術適応となることが多いが，術後の神経症状の増悪や合併症が高率に発生するなどの問題点が多い．しかし，近年では後方除圧固定術の普及により，術後の神経学的な改善が日整会点数の改善率で平均50％を超え，比較的安定した手術成績が得られるようになってきた^5,10）．一方，術後の合併症の発生は決して少なくはなく，2018年の全国多施設による胸椎OPLL手術前向き研究115例の検討では，術後の合併症の発生は59例（51.3％）に及んでいた．特に問題となる術後の神経症状の悪化は37例（32.2％）でみられ，再手術は9例（7.8％）で行われていた^2,8）．また，胸椎OPLLに対して後方除圧固定術を施行し術後経過が良好な症例でも，長期経過で隣接椎間での骨化の進展が生じ，追加手術を要する例が少なからず存在する．本稿では，後方除圧固定術後に再手術を要した例について，再手術の実際を紹介しながら，手術の注意点を交えて解説する．