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【要 旨】
目 的:頚椎疾患においてインストゥルメンテーションを用いた固定術は広く用いられている治療法である.われわれは頚椎後方固定術における新しい手術法として,椎孔周囲スクリュー(paravertebral foramen screw:PVFS)固定を考案した.本研究の目的はPVFSの手術手技の説明および外側塊スクリュー(LMS)と比較した,PVFSの引き抜き強度を調べることである.またLMS刺入が失敗した際にPVFSがサルベージとして使用できるかを調べた.
対象および方法:新鮮凍結屍体(平均年齢84.3±10.4歳)6体から採取した頚椎(C3~C6)を対象とした.同一椎体の片側にそれぞれランダムにLMSとPVFSを刺入した.LMSには径3.5mm×長さ14mm,PVFSには径4.5mm×長さ12mmのスクリューを用いた.PVFSの手術手技は外側塊中央より1mm内側の椎弓根高位を刺入点として3.2mm径のドリルを横突孔に達しない長さである12mmのストッパーをつけて透視下にすすめた.ドリルは20°~25°程度正中側へ向けて刺入した.径4.5mmのタップを行いスクリューを刺入した.それぞれのスクリューに引き抜き試験を行い,最大引き抜き強度を調べた.LMS引き抜き後にスクリュー孔にドリルを入れて外側塊骨折を作ってLMSがカットアウトした状態を想定し,同一高位にPVFSを刺入し直してこれをsPVFSとした.sPVFSについても引き抜き試験を行った.
結 果:合計69本のスクリューに引き抜き試験を施行した(23本のPVFS,23本のLMS,および23本のsPVFS).平均引き抜き強度は,PVFSでは234±114N,LMSでは158±91N,sPVFSでは195±125Nであった.PVFSの引き抜き強度は,LMSの引き抜き強度よりも大きい傾向があったが有意差はなかった(p=0.06).
結 語:中下位頚椎後方手術における新しい内固定法PVFSについて解説した.PVFSはLMSに比べて引き抜き強度が強い傾向があり,sPVFSはLMSと同等の引き抜き強度であった.LMSがカットアウトした際にPVFSがサルベージとして使用できることが示された.
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