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問題点の検討
大腿骨転子部骨折における後外側骨片の固定は髄内釘の揺れに対してどのような影響を及ぼすのか?
-――力学試験による可視化
How the fixation of posterior lateral fragment of trochanteric femoral fractures affects the swing motion of the intramedullary trochanteric femoral nail?:a visualization with mechanical test
宇佐美 琢也
1
,
高田 直也
2
T. Usami
1
,
N. Takada
2
1名古屋市立大学大学院整形外科
2JA愛知厚生連海南病院整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Nagoya City University, Graduate School of Medical Sciences, Nagoya
キーワード:
trochanteric femoral fracture
,
swing motion
,
posterolateral fracture
,
biomechanical study
Keyword:
trochanteric femoral fracture
,
swing motion
,
posterolateral fracture
,
biomechanical study
pp.784-789
発行日 2023年6月1日
Published Date 2023/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei74_784
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は じ め に
後外側骨片のある大腿骨転子部骨折は不安定型骨折として扱われており,その後外側骨片を固定しようとする試みはいくつか報告されている1~4).わが国では2020年に後外側骨片固定専用のインプラント,OLSA(帝人ナカシマメディカル社)が発売されて使用可能になった.後外側骨片を整復固定することによって髄内釘の揺れの軽減,過度なラグスクリューのスライディングの予防が期待される.わが国では寺田らが提唱した髄内釘の前後方向の揺れ(sagittal swing motion:SSM)という動きは,解剖型に整復された骨折部が髄内型へ矯正損失する一因であるという考え方が主流である5).この動きによる矯正損失を減らすためには,長い髄内釘を使用するのがよいと報告されている5).2020年にKimらは近位骨片の後方への変位を “posterior sagging” と表現し,その動きは偽関節となる危険因子であると報告した6).OLSAを使用して後外側骨片を固定することも同様な効果があると考えられるが,それを証明した報告はない.
本研究では,不安定型大腿骨転子部骨折モデルを用いて,骨折線の違い,OLSAによる後外側骨片の固定の有無が髄内釘の揺れに対してどのような影響を及ぼすかについて,力学試験を行って確認したので報告する.
© Nankodo Co., Ltd., 2023