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腱板修復用スーチャーアンカーの最小安全距離
Minimum distance of suture anchors used for rotator cuff repair without decreasing the pullout strength;a biomechanical study
川上 純
1
J. Kawakami
1
1ユタ大学整形外科
1University of Utah, Dept. of Orthopaedics, U. S. A.
キーワード:
suture anchor
,
rotator cuff repair
,
pull-out strength
Keyword:
suture anchor
,
rotator cuff repair
,
pull-out strength
pp.387-390
発行日 2020年4月1日
Published Date 2020/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei71_387
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【要 旨】
目 的:腱板断裂などの手術に用いられるスーチャーアンカー(アンカー)は中心間距離を1cm離せばアンカーの引き抜き強度は落ちないと考えられてきた.しかし,この距離を生体力学的に明らかにした報告はなかった.そこで,本研究の目的は,引き抜き強度が低下しない最小のアンカー間安全距離を調査することである.
対象および方法:2本のアンカーを挿入し,周期的負荷試験および引き抜き試験を行った.アンカーの中心間距離は4,6,8,10mmとした.アンカーは金属製スクリュー型アンカーとPEEK製コイル型アンカーを使用した.挿入対象として3種類の密度(超骨粗鬆骨,骨粗鬆骨,正常骨密度)の人工骨モデルおよびブタ上腕骨を使用した.試験中に得られた最大引き抜き荷重,移動距離,破断様式,破断が起きたサイクル数を記録した.
結 果:金属製スクリュー型アンカーを挿入した場合,超骨粗鬆骨密度人工骨モデルでは,アンカー中心間距離が4,6,8,10mmでの最大引き抜き荷重はそれぞれ122±4N,136±1N,135±4N,139±3Nであり,アンカー中心間距離4mm群は6,8,10mm群よりも有意に引き抜き荷重が小さかった(p<0.01).6,8,10mmの群間には有意差はなかった.骨粗鬆骨密度人工骨モデル,正常骨密度人工骨モデル,ブタ上腕骨も同様の傾向を示した.また,PEEK製コイル型アンカーでも同様の結果であった.
結 論:骨密度およびアンカーのタイプにかかわらずアンカー中心間距離が6mm以上あれば引き抜き強度の低下がなく安全にアンカーを挿入できることがわかった.
© Nankodo Co., Ltd., 2020