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連載 最新原著レビュー
先天性重複上肢(upper limb dimelia)
Upper limb dimelia
高木 岳彦
1
,
高山 真一郎
1
T. Takagi
1
,
S. Takayama
1
1国立成育医療研究センター整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., National Center for Child Health and Development, Tokyo
キーワード:
upper limb dimelia
,
duplication
,
congenital anomaly
Keyword:
upper limb dimelia
,
duplication
,
congenital anomaly
pp.1271-1273
発行日 2018年11月1日
Published Date 2018/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei69_1271
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【要 旨】
目 的:われわれは,きわめてまれな先天性重複上肢(upper limb dimelia)の症例を経験したので報告する.
症 例:0歳(38週4日,2,858g),男.右上肢は2本の上腕骨,4本の前腕骨,11本の手指を有し,頭側要素と尾側要素は合指症のように上腕基部から手掌まで癒合していた.それぞれの上腕骨は低形成の2個の肩甲骨と対抗していた.
手術所見:呼吸状態の安定をまって,4歳時に手術を施行した.頭側・尾側要素は皮膚性癒合であったため,比較的容易に分離可能で,尾側側の上腕から手指を切除し,形成した.頭側上肢尺骨神経が肘関節高位で尾側上肢橈骨神経知覚枝に分岐していたため,これを切離した.頭側上肢の母指は良好であったが,示指~小指は屈曲拘縮を呈していたため,各指基部掌側を剥離して全層植皮を施行した.
術後経過:術後1年6ヵ月,各関節可動域(ROM)は術前と変化なく右上肢をよく使用しており,経過良好であった.
考 察:先天性重複上肢は過去に数例の報告例があるのみで,本例と類似する形態の報告はみられない.症例に応じ手術方法を検討すべきであるが,今後成長とともに機能予後について経過を追う必要がある.
© Nankodo Co., Ltd., 2018