連載 Focus On
AI時代に内科医に求められる病歴聴取と身体診察
-伝統的臨床スキルとデジタル診断支援の統合
徳田 安春
1
1群星沖縄臨床研修センター
キーワード:
e-diagnosis
,
医療AI(医療人工知能)
,
失われた診察技術(lost art of clinical skills)
Keyword:
e-diagnosis
,
医療AI(医療人工知能)
,
失われた診察技術(lost art of clinical skills)
pp.513-515
発行日 2026年3月1日
Published Date 2026/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika137_513
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内科診療における病歴聴取と身体診察は,人工知能(AI)技術やデジタル診断支援の進化にもかかわらず,その重要性を保っている.病歴聴取は診断の約80%を占める根幹であり,AIが高い診断正答率を発揮するうえでも,正確な情報入力が不可欠である.一方,心臓聴診などの伝統的な身体診察スキルは,心エコー検査などの技術的進歩により関心が薄れ,「失われた技術」とみなされるほど,若手医師の間で不十分さが指摘されてきた.しかし,本邦の研修医を対象とした研究では,サウンドシミュレーションレッスンという教育戦略が,心臓聴診の総診断精度を有意に向上させることが示されている.また,まれな疾患の診断においては,丁寧で正確な診察による臨床的特徴を抽出して行うデジタル検索が,診断に到達するための強力な補助手段となりうる.AI時代においても,医師は,臨床的判断力とコミュニケーション能力を維持しつつ,デジタル支援を適切に活用し,伝統的なスキルと先端技術を統合した診療能力を確立することが強く求められる.今すぐ行うべきは,まず失われた技術を取り戻すことであろう.

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