低カルシウム血症および右心不全を呈し，中年期に診断された22q11.2欠失（DiGeorge）症候群

22q11.2 deletion（DiGeorge）syndrome diagnosed in middle age with hypocalcemia and right heart failure

　は じ め に　22q11.2欠失症候群は第3・第4鰓弓の発生異常により甲状腺・副甲状腺・胸腺の低形成，心流出路奇形，特異的顔貌をきたす疾患である．本症例は，幼少期にFallot四徴症に対して手術が行われたが，根治と判断されたためにその後十分なフォローアップがなされず中年期に重症右心不全を呈した．入院経過中に判明した低カルシウム血症，甲状腺・副甲状腺機能異常，特異的顔貌を契機として本疾患が疑われ，染色体検査にて確定診断に至った．早期診断がなされていれば心不全の重症化を防ぎえた可能性は高く，早期診断の重要性を示唆する症例と考えたため報告する．